Project

ZEAMI−世阿弥のほとけは能
<1995年10月25・26日 五反田ゆうぽうと簡易保険ホール>


平成7年度(第50回記念)芸術祭創作委嘱作品 主催:文化庁芸術祭執行委員会
演出・振り付け・台本:後藤早知子 作曲:西村 朗
指揮:十束尚宏 日本フィルハーモニー交響楽団


<Story>
それは「生命の輪廻」。宇宙的な時間の中で、瞬間のきらめきとして「現在」から「過去」へ、そして世阿弥の時代から21世紀へと紡いで行く宇宙の中の「生命のリズム」としてのダンス・・・「舞」。
この作品は能の上演形式を借り構成し、能の持つ「幽玄」と「瞬間の美」を“現代の舞踊言語”で描いた人間“世阿弥”の生き様と心模様である。


<Cast>
世阿弥:坂本登喜彦 その妻:井神さゆり 観阿弥:小原孝司 その妻:尾本安代 義満:中村しんじ 元雅:西島千博 その妻(25日):伊藤範子 その妻(26日):田所いおり 音阿弥:上島雪夫 義教:膳亀利次郎 犬王:舘形比呂 技芸天女:多々納みわ子 AMI:羽場裕一


序章

誕生・・・生命のリズム

©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa


1.脇能
ZEAMI・・・神舞

この作品の案内役AMIが「風姿花伝」の一説を唱えながら登場。彼は選ばれし者がZEAMIであることを知る。
「『風姿花伝』は我が芸を継承する子孫のために書いた。最近は芸の基本をおろそかにし,一時的な収入と人気に溺れるものが多く嘆かわしいばかりである。だが、芸に精進し,私心なく修行すれば必ず徳を得ることができる。芸を継承することも大事だが個性や創造性も必要。なかなか言葉では説明しがたい。 伝統の『風』をうけ、心から心に伝える『花』、つまり観客に訴える魅力を身につける方法を理解するための『花』の伝えであるから『風姿花伝』と名づけた。」(本作品詩・世阿弥著・『風姿花伝』より)

©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa


2.修羅能
室町・・・観阿弥と犬王・・・世阿弥の思い

世阿弥が生きた室町時代の市井。様々な人々の行き交う中,観阿弥の『動』と、犬王の『静』の舞による立会いが始まる。世阿弥と犬王の邂逅。

©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa



3.夢幻能
時の流れ・・・婚礼・・・義満の死

時の将軍義満の寵愛を一身に受ける世阿弥。南北朝の争いの最中、観阿弥はこの世を去った。
やがて世阿弥は進められるがままに妻を娶り、愛のない生活を送る。そして、最大の理解者義満までもが世阿弥を残しこの世を去る。

©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa
©︎ Y.Tsukada



4.雑能
狂乱の将軍義教・・・元雅と音阿弥・・・

海中の岩・・・黒の軍団・・・暗黒
時代は移り、義教の世。世阿弥の栄華も今は昔。我がこ元雅に一心に愛情を注ぐ世阿弥。
義教から命じられた音阿弥との舞の立会いに敗北し荒む元雅。そして元雅は何物かの手により殺害される。

©︎ Y.Tsukada
©︎ Y.Tsukada
©︎ S.Ogawa


5.切能
入り舞

義教より勘気を被り佐渡に配流となった世阿弥。すべてを失い老いた世阿弥は絶望の渕において、能だけに向き合える隠やかな境地を見出す。
「…光のあたらない辛く苦しい無情の現世をたとえあなたでもお逃げになることができようか。奈落の底に入ってしまえば刹利(王族)も首蛇(平民)もかわらないという。本当に蓮の葉の泥水のにごりに染まることのない清い心を持ち、泉の水もあなたの清い心のにごりがなくなれば、極楽へ行く道となるはずだ。
(本作品詩・世阿弥著・『金鳥書』より・意訳)

©︎ S.Ogawa


終章
ほとけ~心より心に伝ふる花

世阿弥は天女に導かれ,永遠なる瞬間の彼方,天上に昇る。すべてを音阿弥に、そして後に続くものにたくして・・・。

©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa
©︎ S.Ogawa